皮膚科診療で最も多く接します。多くは掻くのが癖になって無意識に掻き続け、皮膚の表面を荒れさせてますます痒みが強くなる、という悪循環に陥っています。
初診のときは「掻くことがいかに症状を悪化させるか」ということをお話しし「とにかく掻かないこと」を目指します。そのために痒み止めのお薬を服用して頂き、痒み止めと炎症止めの作用を持つ塗り薬を処方します。
さらに幼児の場合は「掻いてはいけない」を理解できないので、爪の手入れの指導も同時に行います。
何年も悩んでいた痒みから解放された方がたくさんいらっしゃいます。
主にヒトパピローマウイルスによる皮膚の感染症です。ウイルス感染なので放っておくとどんどん数が増える可能性があります。
液体窒素を染み込ませた綿棒をイボに当て、人工的な凍傷を起こさせ、2日後にピンセットのような器具で取ってしまいます。
たいていのイボはこの2回で終了します。
数が多いと何回かに分けて治療することになるので2~3個以内くらいのときに来て頂けるとより簡単です。
幼児期から小児期にみられやすいモルスクムウイルスによる皮膚感染症です。接触感染により体中どこにでも小さな丸いいぼ状の隆起が多発し、痛みや痒みはありません。
ウイルスに対する抗体がいずれできれば自然消滅しますが、他の子供への感染源となるのでプール授業などがある場合は問題になることがあります。抗体ができるのを待つ(平均6か月前後)のも正しい対処法ですが保護者の希望があればピンセットのような器具でつまんで除去します。そのまま除去すると結構痛いので当院ではあらかじめ麻酔シールをお渡しし、自宅で貼ってから2時間後に除去します。
痛みはゼロではないですがかなり軽減するので我慢できる範囲内です。
ただ「何をされるんだろう」という恐怖感で泣いてしまうお子さんもいらっしゃいます。除去するかしないかは保護者と十分話し合って決めて行きます。
主に足の裏にできます。硬い地面と足の骨に挟まれた皮膚が硬く変化して歩くときに痛みを感じるようになって来ます。ウオノメパットというドーナツ型のフェルトで保護しておくと改善するケースもありますが、液体窒素で取ることも可能です。
これも足の裏にできることが多いですが、ウオノメより面積が広いのでスピル膏という皮膚を柔らかくする絆創膏を4~5日貼ったのち、カミソリで丁寧に削ります。治療で痛みを感じることはありません。
皮膚の老化現象によって生じる褐色の良性腫瘍です。老人性色素斑(シミ)と異なり、やや盛り上がって表面がザラザラしています。
ダーモスコープで最終的な診断を付けます。
放置しても差し支えありませんが希望があれば液体窒素による冷凍凍結法で除去します。
体中色々な場所にできる硬く丸いできものです。中には脂のカスのようなものが入っていて被膜で包まれています。いずれ細菌感染を起こして腫れてきますが、可能な限り細菌感染を起こさないうちに被膜ごと摘出するのがベストです。
ただ当院では女性の顔面など傷跡が気になるケースでは形成外科などの専門医にご紹介しています。
思春期~青年期に顔面や胸部などにアクネ菌という細菌が感染してニキビを作ります。細菌を殺す薬と毛穴を開かせる薬が配合された軟膏を1日1回寝る前に塗ります。たいてい1か月ぐらいでかなり改善します。3か月ぐらい続けたら殺菌効果より予防効果の高い薬剤に変更することが多いです。
主に黄色ブドウ球菌による小児に多い皮膚の感染症です。一見湿疹のようにも見えるのですが湿疹の軟膏を塗っても治りません。抗菌薬の内服と外用塗布で1~2週間くらいできれいになります。
手で触ることで他の皮膚にも拡がるのでガーゼか包帯で覆ってしまうことが大切です。
手のひらや足の裏に膿を持ったような赤いブツブツができる原因不明の皮膚病です。痛みや痒みはありません。通常は活性型ビタミンD3やステロイドの軟膏で対応します。しかし、実は腸内細菌のバランスの不良から来るビタミンH不足が原因ではとも言われておりますので、当院では整腸剤とともにビタミンHの処方を行っており、多くの方に良好な結果を得ていただいております。
夏季に発症しやすい真菌(カビの一種)感染症です。胸や背中にまるでニキビが急にできたように見えます。ニキビに対する抗菌薬では効果がなく、抗真菌薬の内服と外用薬塗布で治します。
小児期にかかった水ぼうそうのウイルスが脊髄神経に潜伏しており、免疫力が低下するとウイルスが活性化して体の色々な部位に帯状に神経痛を伴う水疱が発生します。神経痛が先行する場合も多く、なるべく早めの受診をお勧めします。強い神経痛が残る場合もあり、その場合は状況に応じてペインクリニック(痛み専門の医師)にご紹介します。
主に女性ホルモンバランスの乱れが原因でできてしまうシミです。主に頬骨の高い部分に、発生する左右対称の薄茶色のもやもやした色素斑です。ビタミンCや酵素賦活剤、抗炎症剤などの組み合わせの内服を3か月ほどして頂くとかなりの例で薄くなって行きます。
爪の中に白癬菌(真菌)が入り込んで爪が先端から白く濁ってきます。ただ非典型的な例もあるので自己判断は禁物です。白濁した爪を採取して真菌培養を行い、陽性に出てから治療を開始します。塗り薬もありますが確実なのは内服薬です。最近の内服薬は性能が向上し、肝機能障害などの副作用も殆どなくなって使いやすくなっています。